おこじょ(オコジョ)は、ネズミなどの小さな動物を食べる肉食の動物です。ちいさな体で山を駆けまわる姿の裏には、食べ物と狩り、そして身を守る工夫があります。この記事では、okojoya(おこじょ屋)が、おこじょの食べ物、狩りのしかた、蛇との関係、天敵までを、分かっていることと分かっていないことを分けてご紹介します。
おこじょは、ヨーロッパや北アメリカにも広くすむ動物です。日本のおこじょの話と、種全体の話は、わけて書きます。日本では、ホンドオコジョは本州の中部から北の高い山、エゾオコジョは北海道にすんでいます。
何を食べているの?
本州にすむホンドオコジョについて、岐阜県の解説は、ネズミやモグラなどの小さな哺乳類と鳥が中心で、ときにはノウサギも捕らえるとしています。環境省の南アルプス国立公園の解説でも、ホンドオコジョは鳥、ネズミ、昆虫などを食べるとされています。
- ネズミやモグラなどの小さな哺乳類
- 小鳥などの鳥
- 昆虫
- ときにはノウサギのような、大きめの動物
種全体では、アメリカの大学が運営する動物事典が、ネズミなどの小さな哺乳類を好み、手に入らないときは鳥や卵、カエル、魚、昆虫も食べると紹介しています。食べ物は、すむ場所によって大きく変わります。イギリスで1995〜1997年に集めた789頭のおなかの中身を調べた研究では、ウサギの仲間が入っていた割合は65%、小さなネズミは16%、鳥と卵は17%でした。これはイギリスの数字で、日本のおこじょの割合ではありません。
どうやって狩るの?
おこじょは体が細長く、足が短いので、せまいすき間や巣穴にもぐり込めます。百科事典には、感覚がするどく、遠くのかすかな音や、土や雪の下にいる獲物のにおいも感じ取ると書かれています。ネズミを追って、雪の中にトンネルを掘ることもあるそうです。
活動するのは、おもに夜です。ときには昼間も動きます。木登りと泳ぎも上手とされています。イギリスの哺乳類協会は、ごく大きな獲物でなければ、首のうしろをひとかみで仕留めると説明しています。
蛇も食べるの?
「おこじょは蛇も食べる」と聞くことがあります。でも、日本のおこじょが蛇を食べるという記録は、確認できませんでした。岐阜県や環境省の解説にも、蛇は出てきません。種全体についても、いま確認できた資料の食べ物の一覧には、蛇は入っていませんでした。
ですので、「蛇を食べる」とは言いきらないことにします。食べ物はまわりの環境で変わるため、場所によっては例があるかもしれません。ただ、確かな資料がない以上、「蛇のハンター」と紹介するのは控えたほうがよさそうです。
どれくらい食べるの?
体の大きさは、世界大百科事典によると、種全体で体長がメス17〜27cm、オス18〜33cm、体重はメス160〜310g、オス220〜450gです。ただ、すむ場所でかなり違い、アメリカの動物事典は体重を25〜116gと紹介しています。本州のおこじょについて、岐阜県の解説は、頭胴長16〜18cm、体重80〜105gで、オスのほうが大きいとしています。
ちいさな体は、熱やエネルギーを多く使います。前に紹介した動物事典は、たくさんのエネルギーと熱をつくるために、毎日の食事が欠かせないと説明しています。1日に何グラム食べるのかなど、はっきりした数字は、確認できた資料にはありませんでした。
天敵は?
まず、日本のおこじょの天敵をまとめた資料は、確認できませんでした。分かっているのは、種全体のことです。動物事典には、おもに北アメリカでの天敵として次の動物が挙がっています。
- キツネ
- テンの仲間、アナグマ
- タカの仲間などの猛禽類
- ときにイエネコ
イギリスの解説でも、おこじょは開けた場所に出ると、キツネや猛禽類にねらわれるおそれがあると紹介されています。日本のおこじょがどの動物にねらわれやすいかは、まだ分かっていません。なお、岐阜県の解説は、観光客が増えて残飯が出ると、それを狙うキツネやカラスが生息地に入り込み、その影響でおこじょが感染症で死んでいる可能性がある、と書いています。これは、おこじょが食べられるという話ではありません。
身を守る工夫
- 白い冬毛。冬は、尾の先をのぞいて全身が白くなり、雪の中で見つかりにくくなります。夏は背中が褐色、お腹が白です。
- かくれ家。環境省は、木のうろや岩の間を巣にして暮らすとしています。
- 動きの速さ。世界大百科事典は、動きがすばやいと紹介しています。
- 黒い尾の先。イギリスの解説では、敵の注意をそらす目印かもしれないと紹介されています。
黒い尾の先は、あくまで仮説です。イタチの仲間の模型を使った1982年の実験が元になっていて、おこじょそのものを調べたものではありません。日本の山でも同じかどうかは、確かめられていません。
追いつめられたとき、強いにおいを出すとも言われますが、確かな資料は多くありません。ここでは、そうした説もある、という紹介にとどめます。
生きものの輪の中で
動物事典は、おこじょを、小さな哺乳類が暮らす場所で大切な捕食者と紹介しています。食べる側であり、食べられる側でもある小さな肉食動物です。
日本のおこじょは、環境省のレッドリストで、ホンドオコジョもエゾオコジョも準絶滅危惧です。岐阜県の解説は、道路で生息地が分けられることや、森の木が切られてネズミなどの食べ物が減ることを、県内で減っている理由として考えられると説明しています。食べ物の話は、おこじょの暮らしを守る話でもあるのですね。山で出会ったら、近づかず、追いかけず、食べ物をあげないで、そっと見守りましょう。
この記事のまとめ
- ホンドオコジョは、ネズミやモグラなどの小さな哺乳類と鳥、昆虫を食べ、ときにノウサギも捕らえる
- せまいすき間や雪の下にも入れる体で、においや音を頼りに狩りをする
- 蛇を食べるという記録は、確認できた資料にはなかった
- 天敵は、種全体ではキツネや猛禽類などが知られ、日本では整理された資料が見つからなかった
- 白い冬毛や、かくれ家が身を守る手がかり。黒い尾先の役目は仮説
おこじょをそばに
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参考にした資料(8件)
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