おこじょ(オコジョ)は、岩の上で立ち上がってのぞいたり、冬も雪の中で動きまわったりと、ふしぎな行動をする動物です。この記事では、立ち上がる理由、泳げるのか、冬眠するのか、においと縄張り、オスとメスの違いについて、分かっていることと、まだ分かっていないことを分けてお伝えします。
おこじょの行動を調べた資料は、種全体を対象にしたものが中心です。日本のおこじょの様子は、まだ分からないことも多いのが実際のところです。
立ち上がってのぞくのはなぜ
岩の上で、後ろ足でぴょこんと立ち上がって辺りをのぞく。そんな姿で知られるおこじょには、周りの様子を確かめるため、という理由があると考えられています。
英語圏の解説には、おこじょが狩りの途中で足を止め、頭を持ち上げ、後ろ足で立って周りを見わたす、という記述があります。背が低いおこじょにとって、立ち上がるのは、遠くまで見わたすいちばん手軽な方法なのかもしれません。何を確かめているのかは、観察ではっきり示されているわけではありませんが、えものの動きや、まわりの様子を見ているのかもしれません。
おこじょは夜行性が強いとされますが、日中も動くといわれています。日本では、ホンドオコジョは本州の中部から北の高い山、エゾオコジョは北海道にすむとされています。岩場や岩のすき間にすみ、そこを使って動きまわるので、岩の上や石の間にひょっこり顔を出すことがあります。数は多くなく、出会えたら特別な体験です。
巣穴については、英語圏の解説で、地面から30cmほど下の浅い穴に、草などを敷いてつくると報告されています。これは種全体の話で、日本の亜種についてはくわしく分かっていません。
おこじょは泳げるの
おこじょは泳げる? 答えは「種としては泳げると報告されています」。日本の山での様子は、まだよく分かっていません。
英語圏の動物解説では、おこじょは主に地面の上で暮らしますが、木登りも泳ぎも上手だと紹介されています。水の中で暮らす動物というわけではなく、必要なときに水を渡れる、くらいに受け止めるのがよさそうです。同じイタチ科でも、水辺を好む仲間もいます。
ただ、日本のおこじょが泳ぐ様子がまとまって記録されているのは、確認できませんでした。分かっていることと、分かっていないことを分けると、次のようになります。
- 分かっていること…おこじょという種は、木登りや泳ぎが上手と紹介されている
- 分かっていないこと…日本のおこじょが、どんな場面で、どれくらい泳ぐのか
- 想像できること…小さな流れを渡るなど、移動のために水を使う場面があるかもしれません
観察の記録が少ない動物なので、断定せずに、分かっていることと想像を分けて考えたいところです。
おこじょは冬眠するの
おこじょは冬眠をしない動物です。雪の積もる冬のあいだも、岩の間や雪の下を動きまわって、えものを探して暮らしていると紹介されています。
冬眠は、体温を大きく下げて長く眠る状態のことです。おこじょはこの意味での冬眠をしません。冬眠するシマリスなどとちがい、おこじょは冬も活動を続けるといわれています。冬も食べ物を探して、雪の中で動きまわり、日中も動くことがあると紹介されています。
北海道のエゾオコジョは、冬眠せずに雪山で冬を越し、岩のすき間を使って動くと紹介されています。冬毛は真っ白で、雪の中では見つけにくくなります。細長い体は、狭いすき間に入り込むのに向いているように見えます。
岐阜県の解説では、おこじょは山地から高山にかけての限られた地域にすみ、冬は標高を下げて暮らすとされています。移動の距離や時期は、地域や年によって変わるため、一律には言えません。
冬のおこじょは、しっぽの先だけを残して全身が白くなります。エゾオコジョは、雪解けの季節と、初冬に雪が積もるころに毛が生え替わると紹介されています。
においと縄張りの関係
おこじょは、においを使って縄張りを知らせていると考えられています。では、そのにおいは「くさい」のでしょうか。人にどう感じられるかは、分かっていません。
英語圏の解説では、おこじょの縄張りは、同じ性別どうしでは重ならないように分かれていて、持ち主が見回り、においで印をつけて守ると説明されています。雪や岩の多い山では、姿を見せ合う機会が少ないため、においが相手への伝言になるのでしょう。
においの元は、おしりの近くにある、においを出す小さなところや、尿、ふんなどです。研究では、おこじょのにおいづけが縄張りと関わっていることが報告されています。ただ、日本のホンドオコジョやエゾオコジョで同じことを調べた資料は多くありません。高い山にすむ数の少ない動物なので、直接観察しにくいのでしょう。
おこじょは、攻撃されたときなどに、おしりの近くから強いにおいを出すとされています。ジャコウのような独特のにおいと紹介されることもあります。これは縄張りの印づけとは別の使い方です。
イタチ科の仲間は、においを出す器官をもつものが多いことが知られています。日本には「イタチの最後っ屁」ということわざもあり、追いつめられたイタチが強いにおいを出すことに由来します。ただし、このことわざの主役はイタチで、おこじょとは別の動物です。
- 縄張りの見回りと、においの印づけが組み合わさっている
- 攻撃を受けたときの強いにおいは、身を守る手段
- 人にどう感じられるか、日本のおこじょでの詳しい研究は、これから
オスとメスの違い
おこじょのオスとメスでは、オスのほうが大きいことが知られています。ただ、毛色や模様で見分けるのはむずかしく、分かりやすい違いは体の大きさと行動する範囲です。
岐阜県の解説でも、おこじょはオスのほうがメスより大きいイタチの仲間と紹介されています。日本の亜種だけで、オスとメスの体重を細かく比べた資料は多くありません。亜種によって大きさが違うともいわれますが、くわしい数字は確認できませんでした。
ここでは種全体の目安です。日本の亜種の数値ではありません。
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世界大百科事典では、体長はメスが17〜27cm、オスが18〜33cmほど
- 体重はメスが160〜310g、オスが220〜450gほど
数字に幅があるのは、地域や測り方、調べた個体群が違うためと考えられます。オスとメスの範囲は一部重なるので、一匹だけ見て性別を当てるのは簡単ではありません。
動物多様性ウェブの解説では、行動する範囲はオスがメスの約2倍とされています。これも種全体の話で、日本の山で同じ比率になるのかは、まだよく分かっていません。
夏の茶色い毛、冬の白い毛、先の黒いしっぽといった特徴は、図鑑ではオスとメスを分けずに説明されます。野外で見かけただけでは、性別まで分かりにくいようです。並んだ二匹を見比べられれば、大きさの違いが手がかりになりますが、おこじょは単独で暮らす動物とされ、その機会はめったにありません。
会えたときのマナー
立ち上がる姿は一瞬で、おこじょにとっては周りを確かめる緊張の場面でもあります。沢沿いの道で出会ったときも、まずは静かに距離をとって見守りましょう。
- 近づきすぎず、遠くからそっと眺める
- 食べ物を見せたり、与えたりしない
- 写真は望遠レンズで離れて撮り、フラッシュは使わない
- 登山道から離れない
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参考にした資料(5件)
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