夏毛と冬毛

おこじょ(オコジョ)の夏毛と冬毛|いつ変わる?なぜ白くなる?

おこじょ(オコジョ)は、夏は茶色、冬は真っ白。季節がめぐるたびに、まるで別のすがたに変わる小さな動物です。

この記事では、夏毛と冬毛のちがい、毛が変わる時期、どうして色が変わるのか、写真や山で見るときのヒントまで、ひとつずつやさしくお話しします。

夏毛と冬毛のちがい(早見表)

日本にいるホンドオコジョを紹介する岐阜県のページなどによると、夏は背中が茶色でお腹が白、冬は全身が白になります。しっぽの先は、どちらの季節も黒いままです。

見るところ 夏毛 冬毛
背中 茶色 白
お腹 白 白
しっぽの先 黒 黒
見た目の印象 茶と白のツートン 雪のような真っ白
よく見られる場所 岩場や草むら 雪の中

夏毛と冬毛は、同じ一匹のおこじょです。色がうすくなるのではなく、毛そのものが生えかわって入れかわります。

いつ、毛が変わるの?

おこじょの毛がわりは、年に2回あります。長野県のホンドオコジョを紹介する山ノ内町のページも、年に2回毛色が変わると説明しています。

時期のめやすとして、尾瀬国立公園を紹介する東京電力のコラムには、春先と晩秋の2回とあります。春先に茶色へ、晩秋に白へ向かう、というイメージです。

ただし、何月何日から白くなる、と決まっているわけではありません。住んでいる地域によって前後すると考えられています。その年の寒さや雪のようすで、進む速さが変わることもあります。そのため、この記事では月の数字は書かないことにしました。

変わりはじめてから終わるまでの、くわしい進み方も、海外の研究でわかってきています。季節による毛色の入れかわりを整理した2018年の総説によると、イタチの仲間の秋の毛がわりは、春よりも速く、お腹や胸やのどから始まって背中へ進みます。春は逆に、背中の後ろのほうの中央に茶色の毛が出はじめて、お腹のほうへ広がります。

そのため、毛がわりのとちゅうの個体は、白と茶色がまだらになります。これは種全体の話で、日本のおこじょでも同じ順番かどうかは、ここでは確認できていません。

どうして、毛の色が変わるの?

きっかけは、昼の長さ

毛の色を変えるきっかけは、気温よりも、昼の長さだと考えられています。上の総説には、目で感じた昼の長さの情報が脳に伝わり、ホルモンの働きを通して、白い毛か茶色い毛かが決まる、という流れが整理されています。

飼育下のオコジョやイタチ類で、光の長さを人工的に変える実験では、毛がわりを起こしたり、もどしたりできました。気温だけを変えても、毛がわりは始まりませんでした。一方で、いったん白くなりはじめると、寒いほど進みが速いという報告もあります。

ここで大事なのは、この仕組みの研究は、ヨーロッパなどのオコジョや、ウサギなどの別の動物で進んできたことです。日本のおこじょで同じことが確かめられているかは、ここでは確認できていません。

白くなる理由は、雪にまぎれるため

白くなる主な理由は、雪の中で見つかりにくくするため、つまり保護色だと考えられています。同じ総説も、冬に白くなる鳥や哺乳類の主な役割は、雪を背景にしたカモフラージュだとまとめています。

あたたかく過ごすため、と思われがちですが、イタチの仲間では、冬毛と夏毛の保温力は同じくらいだったという研究もあります。冬毛が白いのは、おもに姿をかくすためのようです。

また、雪の少ない地域では、冬も茶色いままの個体が見られる種があることも知られています。雪にあわせて色を変える仕組みだと考えられています。

白い冬毛、アーミンの特徴

冬のおこじょは、しっぽの先だけを黒く残して、全身が白くなります。英語では、おこじょをストート、白い冬毛のすがたや毛皮をアーミンと呼びます。日本大百科全書などの辞典によると、ヨーロッパでは昔、貴族の祭礼の衣装に使われてきました。歴史の話は、また別の機会にゆっくりご紹介します。

山では、雪あなから上半身だけをのぞかせて、あたりを見まわす姿が印象的だと、山ノ内町の解説にも書かれています。真っ白な雪の中に、黒くて丸い目と鼻、しっぽの先だけが浮かぶ。山の妖精と呼ばれるのも、うなずけます。

岐阜県のページには、冬は標高を下げて暮らすとあります。冬に雪の中で会えるのは、じつはとても運のいいことなのかもしれません。

茶色い夏毛の魅力

白い冬毛が目立ちますが、夏毛にも夏毛の魅力があります。背中は落ち着いた茶色で、お腹は白。白い冬毛とはまた違う、野山の元気さが伝わってくる色です。

動きがとてもすばやいことも、夏の見どころです。世界大百科事典には、はねるように走り、木登りや泳ぎも上手だとあります。岩のあいだからひょっこり顔を出す姿は、まるで小さな忍者のようです。

白と茶色、どちらが本物のおこじょ、ということはありません。どちらも、その季節を生きぬくためのすがたです。

しっぽの先は、どちらでも黒い

夏も冬も変わらないのが、しっぽの先の黒い毛です。南アルプスの宝箱でも、腹面が白く尾の先端は黒いと説明されています。この黒さは、イイズナというよく似た仲間と見分けるポイントにもなります。日本大百科全書には、イイズナよりやや大きく、尾が長く、先端が黒いことが違いだとあります。

では、なぜ黒いのでしょうか。理由はまだはっきりしていません。有力な仮説として、天敵の目をしっぽの先に引きつけ、体をねらわれにくくする、という考え方があります。アメリカで1982年に行われた実験では、タカに冬毛をまねた白い模型を襲わせたところ、しっぽの先が黒い模型は、つかまえにくかったそうです。この仮説は、全米野生生物連盟の雑誌記事やモンタナ公共ラジオの解説でも紹介されています。

ただし、この実験はイタチ属の大きめの種を使ったもので、おこじょだけを調べたものではありません。あくまで仮説のひとつ、と考えてください。

写真や山で見るときのヒント

  • 背中が茶色で、お腹が白ければ夏毛。全身が白ければ冬毛です。
  • 白と茶色がまだらなら、毛がわりのとちゅうかもしれません。
  • どの季節も、しっぽの先が黒いかを見てみましょう。
  • イイズナによく似ているときは、しっぽの長さと、先端の黒さを見比べます。
  • 冬は雪の穴から顔を出す姿、夏は岩のすきまから出入りする姿が見られることがあります。

日本には、本州の中部から北の高い山にホンドオコジョ、北海道にエゾオコジョがすんでいます。尾瀬を紹介するページでは、標高の高い亜高山帯にすむとされています。尾瀬の山小屋で働く人でも、出会えるのは数年に1度ほどだそうです。

ホンドオコジョは、環境省の準絶滅危惧種に入っています。岐阜県のページにもあるとおり、山のごみは必ず持ち帰りましょう。会えたときは、近づきすぎず、そっと見守ってくださいね。

夏と冬のすがたを、並べて楽しむ

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あなたは、夏のおこじょと冬のおこじょ、どちらが好きですか?


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